「もう辞めたい」——その気持ち、あなただけじゃありません
夜勤明けでふらふらになりながら帰る道。
またミスをしてしまったと、布団の中で天井を見つめる夜。
先輩に怒られた一言が頭から離れなくて、「自分は看護師に向いていないんじゃないか」とこっそり泣いた経験、ありませんか。
「せっかく国家資格を取ったのに」
「患者さんのために続けなきゃ」
「まだ看護師として未熟だから頑張らないと、」
——そんな言葉が、あなたをますます追い詰めているかもしれません。
でも、「辞めたい」「続けられるだろうか」と迷うのは、あなただけではありません。
日本看護協会の「2025年看護職員実態調査」(2026年3月公表)では、今後も看護職として働き続けたいという意向(「とてもそう思う」と「ややそう思う」の合計)は62.9%で、
2021年の前回調査(67.6%)より4.7ポイント低下していました。
年代別では、20〜30代で他の年代より低い傾向がありました。
また、民間企業が自社のブログで行ったインターネット調査(現役看護師182人・任意回答)では、90.7%が「看護師を辞めたいと思うことがある」と答えています。
小規模な調査ですが、同じ気持ちを抱える人は少なくないことがうかがえます。
あなたが今感じていることは、珍しくも異常でもありません。
この記事では、「辞めたい」「向いていないかも」という気持ちの背景にある原因と、そこから一歩踏み出すためのヒントをお伝えします。
どうかこのまま読み進めてみてください。
「辞めたい」は弱さではなく、環境が合っていないサインかもしれない
「自分が弱いから、こんなことで辞めたいと思うんだ」と自分を責めていませんか。
でも、「辞めたい」という気持ちは、個人の弱さだけで生まれるものではなく、医療現場の仕組みや環境が関わっていることも少なくありません。
日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」(2026年3月公表)によると、2024年度の正規雇用看護職員の離職率は11.0%、新卒採用看護職員では8.4%でした。
同調査では、2024年度に病気で1カ月以上の連続休暇を取得した正規雇用看護職員がいた病院は72.6%で、そのうちメンタルヘルス不調者がいた病院が79.5%を占めています。
夜勤や業務の負担が大きい中で、心身が消耗していくのは、決して不思議なことではありません。
同じ調査では、2024年度に新卒看護師の年度内離職があった病院の看護管理者に、主な退職理由(上位5つまで選択)を聞いています。
精神的な不調に次いで、「適性への不安」「実践能力への不安」が上位に入っており、「向いていない」と悩んで辞める人が少なくないことがうかがえます。
| 新卒看護師の主な退職理由(看護管理者の回答) | 割合 |
|---|---|
| 健康上の理由(精神的疾患) | 54.6% |
| 自分の看護職員としての適性への不安 | 46.6% |
| 自分の看護実践能力への不安 | 44.2% |
| 上司・同僚との人間関係 | 27.0% |
| 他施設への関心・転職 | 23.0% |
「向いていないんじゃないか」と感じるとき、それは自分の適性ではなく、今の職場環境が合っていないことを示すサインのこともあります。
あなた自身に問題があるのではなく、置かれている環境が過酷なのかもしれません。
「辞めたい・向いていない」の3つの原因
業務量と精神的負担が許容量を超えている
夜勤・残業・多重業務——医療現場では「当たり前」とされる働き方が、実は人間の許容量を大きく超えていることがあります。
睡眠が取れない、食事の時間すらない、そんな状態が続けば、誰だって「もう無理」と感じます。
急性期病棟では、患者の容体が急変するたびに全力を出し続けることを求められます。
それが日常になると、「仕事への意欲がなくなった」「患者さんへの気持ちが薄れた気がする」と感じるようになります。
これはバーンアウト(燃え尽き症候群)のサインのひとつと考えられ、「やる気がない」のではなく「消耗しきっている」状態かもしれません。
疲れているのは、あなたが弱いのではなく、今の職場があなたに多くを求めすぎているのかもしれません。
理想と現実のギャップに押しつぶされている
看護学校で学んだ「患者さんに寄り添う看護」と、実際の現場の「とにかくこなすことで精一杯の看護」のギャップ。
このギャップが大きいほど、「自分は看護師に向いていないのかもしれない」という気持ちにつながりやすくなります。
理想を高く持っていた人ほど、現実とのズレを「自分のせい」と感じてしまう傾向があります。
でも、理想を持つことは看護師として素晴らしい資質です。
問題があるとすれば、あなたではなく、その理想を活かせない環境のほうです。
人間関係のストレスが静かに積み重なっている
医療現場は階層的な構造を持ちやすく、先輩・後輩・医師・他職種との関係がうまくいかないと、それだけで仕事全体がつらくなります。
「また怒られる」「何をしても評価されない」という積み重ねは、少しずつ自己肯定感を削っていきます。
人間関係のストレスは体への影響も大きく、出勤するだけで体が重くなる、夜眠れないといった症状につながることもあります。
そこまで追い詰められているなら、まず休むことを最優先に考えてください。
「辞めたい・向いていない」から抜け出すための4つの方法
まず、自分の今の状態を正直に把握する
「辞めたい」「向いていない」という気持ちには、大きく2つのパターンがあります。
① 今の職場・環境が合っていないだけのパターン:人間関係や業務量など、今の環境を変えれば解決できる場合。転科や転職で改善する人もいます。
② バーンアウトが進行しているパターン:やる気がまったく出ない、感情が動かない、出勤するだけで涙が出る——こういった状態は、体と心からのSOSです。この場合はまず休むことが最優先です。
ただし、どちらに当てはまるかを自分だけで判断しようとしなくて大丈夫です。
眠れない、食欲がない、出勤前に涙が出るといった状態が続くときは、心療内科・精神科、職場の産業医・健康管理室、都道府県の精神保健福祉センターなどの相談先に、話してみてください。
休むことを考えている場合は、こちらの記事も参考にしてください。
「辞めたい気持ち」の背景を整理することが、次の一歩への出発点です。
科を変える・職場を変えるという選択肢を知る
「看護師を辞める」という選択が最善とは限りません。
科を変える・職場を変えるだけで、働きやすくなる人もいます。
急性期から慢性期へ、病棟から外来・クリニック・訪問看護へ——看護師の働く場所は多岐にわたります。
今の職場だけが看護師の世界ではない、という視点を持つことで、選択肢が広がります。
自分に合った環境を見つけて、看護師として働き続けている人もいます。
信頼できる人に話してみる
一人で抱え込むのが一番つらさを深めます。先輩・同期・友人・家族——誰でもいいので、「最近しんどい」と話してみてください。
話すことで気持ちが整理され、「自分が感じていることはおかしくなかったんだ」と確認できることがあります。
誰にも話せないと感じるなら、看護師専門の転職エージェントに相談するのも一つの方法です。
転職しなくてもいいので、話を聞いてもらうだけでも楽になることがあります。
転職サービスで「安全な出口」を探しておく
転職を検討するなら、一人で動くよりも、看護師専門の転職サービスで情報を集める方法もあります。
専任の担当者に条件を伝えて求人を紹介してもらえるほか、求人票だけでは分からない職場の情報を聞けることがあります。
ただし、担当者との相性やサポートの内容は人によって異なります。複数のサービスを比べながら、自分に合うものを選んでください。
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今日からできる、たった一つのアクション
「とにかく今日、何かできることを」と思っているなら、まずこれだけやってみてください。
紙に「辞めたい理由」を5つ書き出してみる。
「人間関係がつらい」「夜勤がきつい」「ミスが怖い」「将来が見えない」——なんでもいいです。
書き出してみると、「実は職場を変えれば解決する問題が多かった」と気づく人もいますし、「本当に疲れ果てているんだな」と自分の状態を客観的に把握できることもあります。
書いた内容を見て、5つのうち3つ以上が「職場環境」に関する悩みなら、転職・転科を視野に入れてみてください。
5つ全部が「疲れた・もう何もしたくない」に近い内容なら、まず休むことを最優先に動きましょう。これはあくまで、状態を整理するための目安で、診断ではありません。
つらさが強いときは、先ほどの相談先も頼ってください。
まとめ——「辞めたい」は、あなたが頑張ってきた証です
この記事のポイントを整理します。
- 「辞めたい」と感じるのは、珍しいことではない(2025年看護職員実態調査では、働き続けたい意向は62.9%で、前回調査より低下)
- 「辞めたい・向いていない」という気持ちには、個人の弱さだけでなく、職場環境や仕組みが関わっていることも多い
- 主な背景は「業務過多・バーンアウト」「理想と現実のギャップ」「人間関係のストレス」の3つ
- まず自分の状態(環境の問題か、バーンアウトか)を整理することが大切
- つらさが強いときは、専門の相談先や、休むという選択肢も考える
- 転科・転職など環境を変えるのも、立派な「答え」のひとつ
- 転職を考えるなら、専門の転職サービスで情報を集めながら、慎重に動く
私自身、1〜2年目の頃は特に「看護師に向いていないのかな」と本気で悩み、気分が落ち込む日が本当に多かったです。眠れない日も数えられないくらいありました。
「辞めたい」という気持ちは、あなたが限界まで頑張ってきた証です。その気持ちを大切にしながら、次の一歩を一緒に探していきましょう。
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