看護師が転職で失敗する理由5つ 後悔しないための事前リサーチ術

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「今の職場さえ出られれば、きっと楽になる」

そう思って転職活動を進め、新しい職場に移ったのに、しばらくして気づく瞬間があります。「あれ……ここも同じじゃないか」と。

業務量も人手不足の感覚も、職場の空気感も、思い描いていた訪問看護の給料も、全部違った。せっかく勇気を出して動いたのに、転職前より疲弊していた——そんな経験を持つ看護師は、決して少なくありません。

あなたの「変わりたい」という気持ちは、正しい感覚です。ただ、多くの場合うまくいかない理由は「どの職場を選んだか」ではなく、「どうやって選んだか」にあります。

この記事では、看護師が転職で失敗する5つの理由と、後悔しないための具体的な事前リサーチ術をお伝えします。

転職がうまくいかない、本当の理由

転職に失敗する看護師に共通しているのは、「情報収集が表面的だった」という点です。

転職サイトに登録して、給料を比べて、面接を受けて内定をもらう。この流れを踏めば「ちゃんと準備した」と感じます。でも実際には、求人票や面接でわかる情報は、職場の一面に過ぎません。

職場のリアルな姿は、求人票の裏側にあるのです。離職率・教育体制・オンコールの実態・人間関係の空気感——こういった情報は、自分で掘り起こしていかないと見えてきません。

では具体的に、どんな失敗が起きているのか。5つの理由に整理してみます。

看護師が転職で失敗する5つの理由

失敗① 給料の「額面」だけで転職先を選んでいた

転職を考えるとき、「今より給料が上がるかどうか」を最初の判断基準にする人は多いです。でも、額面だけを見て動いてしまうと、入職後に「なんか思ってたより手取り少ない……」という落とし穴にはまります。

特に訪問看護への転職でよく聞く話があります。「訪問看護は給料がいい」というイメージで移ったものの、実際の手取りは前の病棟勤務とほぼ変わらなかった、というケースです。

日本看護協会が実施した「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査」によると、訪問看護ステーション勤務(正規雇用・フルタイム)の税込給与総額は平均38.3万円ですが、基本給だけを見れば訪問看護師(約28.0万円)と病棟看護師(約28.0万円)はほぼ同水準です。さらに賞与を比較すると、訪問看護師の年間平均は94.9万円に対し、病院勤務の看護師は118.2万円と、病院の方が高い傾向にあります。

訪問看護の給料は、夜勤手当の代わりにオンコール手当や訪問件数に応じたインセンティブが収入の柱になっています。夜勤をやめたくて訪問看護に移ったはずが、給料も一緒に下がったという話は、事前に計算しておけば防げる失敗です。

転職前には「月収の手取り」「ボーナス支給額」「各種手当の内訳」を必ずセットで確認しましょう。

失敗② 職場の人間関係を「見学の雰囲気」で判断していた

「見学のとき、スタッフの方たちがとても明るくて話しかけやすかったので決めました」

この判断自体は間違いではありませんが、見学日のスタッフの対応は採用担当から案内されている場合もあります。普段の職場の空気感が、そのまま見えるとは限りません。

ある転職経験者の話では、「専門未経験でもOK」と説明を受けて入職したところ、看護師が4名しかおらず、1日に200人前後の患者が来院するのに教育体制がまったく整っていなかった、というケースがありました。見学では「アットホームな職場」という印象だったにもかかわらずです。

職場の本当の顔は、繁忙期と急変対応のときに出ます。見学ではなく、実際に働いていた人の声を拾うことが、職場の内側を知る一番の近道です。

失敗③ 「なぜ転職したいのか」を曖昧にしたまま動いた

転職の動機が「今の職場が嫌だから」だけだと、高確率で同じ失敗を繰り返します。「逃げる転職」と「向かう転職」はまったく別物です。

たとえば「夜勤をなくしたいから」という理由で訪問看護に移ったとしましょう。でも訪問看護にはオンコール対応がつきものです。夜中に電話が鳴り、場合によっては緊急訪問が必要になる。「夜勤なし」を選んだはずなのに、夜中に起こされる頻度が増えた——という声は実際によく聞きます。

「何から逃げたいか」ではなく「どんな働き方をしたいか」が軸になると、職場の選び方そのものが変わります。転職活動を始める前に、自分の「譲れない条件」と「妥協できる条件」を書き出す時間を必ず取ってください。

失敗④ 夜勤・オンコールの実態を確認していなかった

求人票の「日勤のみ」「夜勤なし」という表記を見て、訪問看護やクリニックへの転職を決めた——そこまではよくある話です。ところが実際に働いてみると、オンコールの回数や時間外対応が想定をはるかに超えていた、というケースが後を絶ちません。

訪問看護の場合、ステーションによってオンコール体制は大きく異なります。月に数回の当番制で実質的な呼び出しはほとんどないステーションもあれば、月の半分以上をオンコール対応に費やすところも存在します。

「夜勤がない」という条件だけで判断すると、心身の負荷がむしろ前の職場より増えることがあります。オンコールの月平均回数・1回あたりの対応件数・緊急訪問が発生する頻度——この3点は面接で必ず聞くべき確認項目です。

失敗⑤ 転職エージェントの情報をそのまま鵜呑みにしていた

転職エージェントは強い味方ですが、彼らにも限界があります。エージェントが提供できる情報の多くは、採用企業から提供されたものです。職場内部の離職率・定着率・最近の離職理由——こういった情報は、エージェントが把握していないことのほうが多いです。

日本看護協会の「2023年 病院看護実態調査」では、看護師の離職率が10.7%という数字も出ています。離職率の高い職場には必ず理由がありますが、それはエージェントとの面談ではなかなか見えてきません。

「人間関係が良いと聞いています」「教育体制が整っています」——こうした説明を受けたとき、それを裏付ける具体的な根拠があるか確認するのが鉄則です。エージェントは「採用成立」のプロですが、「あなたがその職場で長く働けるか」のプロではありません

後悔しないための事前リサーチ術

5つの失敗理由がわかれば、その逆をやるだけです。具体的なリサーチ方法を4つ紹介します。

給料は「実質年収」で比較する

月給の額面ではなく、手取り・ボーナス・各種手当を合わせた実質的な年収で比較することを習慣にしましょう。特に訪問看護への転職では、オンコール手当の有無・計算方法・インセンティブの仕組みを事前に確認することが重要です。「訪問看護は給料がいい」という話は、オンコールやインセンティブが含まれた数字である場合がほとんどです。

離職率・定着率を直接聞く

見学や面接の際に「直近1年間の離職者数」「平均勤続年数」を直接尋ねてみてください。明確に答えられない職場は、それだけで一つのサインです。数字をごまかしたり、曖昧に流したりする場合は慎重に判断してください。

SNSや口コミで内部情報を収集する

看護師向けの口コミサービスや、X(旧Twitter)の看護師コミュニティを活用して、実際に働いたことのある看護師の声を収集しましょう。エージェントには届かない現場感が手に入ります。特定の施設名で検索するだけでも、リアルな情報が見つかることがあります。

複数のエージェントを並行して使う

1社だけに相談すると、そのエージェントの保有求人しか目に入りません。2〜3社を並行して使うと、同じ求人でも説明のニュアンスが異なることがあり、情報の精度が上がります。エージェントを比較する視点を持つことで、提供情報の偏りを補正できます。

今日から1つだけやるとしたら

転職を考えているなら、まず「なぜ転職したいのか」を紙に書き出してください。

「人間関係が嫌」「給料を上げたい」「夜勤をやめたい」——その理由をさらに深掘りすると、本当に求めている働き方が見えてきます。訪問看護への転職を検討しているなら、「給料の内訳(基本給+オンコール手当+インセンティブ)」と「オンコールの月平均回数」を面接で必ず確認することを、最初の一歩にしてみてください。

自分の軸を持って動く転職は、必ず向かう先が変わります

まとめ:転職で後悔しないために押さえておきたいこと

  • 訪問看護の給料は額面より「手取り」と「ボーナス込みの実質年収」で比較することが重要
  • 職場の人間関係・教育体制は見学だけでなく、口コミ・離職率で深掘りする
  • 「逃げる転職」より「向かう転職」の方が職場選びの精度が高くなる
  • 夜勤なし≠負担なし。オンコールの実態(回数・緊急訪問頻度)を必ず確認する
  • エージェントの言葉は出発点。裏付けとなる具体情報を自分でも集める

転職は「勇気」だけでは成功しません。正しい情報を自分の手で集めることが、後悔しないための最大の武器です。


その他のオススメ記事はこちら

[1] 日本看護協会「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査」https://www.nurse.or.jp/nursing/assets/kangochingin_report_2024.pdf
訪問看護師・病院看護師の基本給・賞与データ
[2] 日本看護協会「2023年 病院看護実態調査 報告書(No.100)」https://www.nurse.or.jp/nursing/assets/100.pdf
看護師の離職率データ(10.7%)
[3] レバウェル看護「看護師の辞める理由ランキング」
https://kango-oshigoto.jp/media/article/70257/
転職理由・離職実態の参考

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