看護の授業や実習、国試でよく出てくる「せん妄」と「認知症」。
どちらも高齢者に多く見られる症状で、「意識がはっきりしない」「混乱している」といったイメージから、つい混同しがちです。
でも国家試験では、この2つの違いがしっかり問われます!
「急に出た意識の混乱=せん妄? それとも認知症の進行?」
「夜だけ混乱する患者さんは、どっちの可能性が高い?」
…といった“ひっかけ”も多い分野です。
この記事では、そんな せん妄と認知症の違いを国試対策に特化してスッキリ整理!
比較表や国試の出題ポイントも交えて、分かりやすく解説していきます。
🧠 まずは定義をおさえよう
まずは、それぞれの基本的な定義を確認しておきましょう。
🔷 せん妄とは?
脳疾患や全身疾患、外因性物質になどにより出現する軽度の意識障害。
睡眠障害や興奮、幻覚などが加わった状態をいいます。
薬剤によってせん妄が引き起こされる場合もあります。
🔷 認知症とは?
正常に発達した脳の知的機能(認知機能)が、後天的な脳の器質的障害で持続的に低下し、日常生活に支障をきたす状態をいいます。
アルツハイマー型認知症が最も多いです。
🔍せん妄と認知症の7つの違い
看護師国家試験では、「この症状はせん妄か?認知症か?」を判断させる問題が頻出します。
以下の比較表で、違いをしっかり整理しておきましょう👇
比較ポイント | せん妄 | 認知症 |
---|---|---|
基本症状 | 意識障害、幻視等 | 認知機能障害 |
経過 | 急激(一過性・可逆的) | 緩徐(持続的・不可逆的) |
日内変動 | あり(夕方〜夜に増悪) | なし |
意識レベル | 変動がある(覚醒と混乱の繰り返し) | 清明(しっかりしている) |
睡眠障害 | あり | まれ |
身体的疾患 | 多い | ときにはある |
環境的要因 | 多い | なし |
📝 ワンポイント!
- 「急に様子がおかしくなった? それってせん妄かも!」
- 「何ヶ月も同じような症状が続いてる? それなら認知症の可能性大!」
🧪 国試に出やすいパターンを押さえる
国試でよく問われるのは、以下のようなパターンです。
✔ 出題パターン例
- 「手術後の高齢者が夜間に混乱してナースコールを連打」→ せん妄
- 「最近、財布の置き場所を何度も忘れ、料理も手順通りにできない」→ 認知症
- 「意識レベルの変動があるかどうか」→ 重要な判断材料!
💡 実際のケースで比較してみよう
🟢 ケース①|せん妄の例
72歳男性。肺炎で入院中、夜になると「ここはどこ? 家に帰る!」と混乱し、ベッドから立ち上がろうとする。昼間は落ち着いているが、夕方以降に混乱が目立つ。
➡ 急性の発症・時間による変動 → せん妄の特徴!
🔵 ケース②|認知症の例
80歳女性。近所のスーパーで何度も財布を落とす。料理中に手順を忘れることが増えた。家族からも「同じ話を何度もするようになった」と言われている。
➡ 緩やかに進行する記憶力低下 → 認知症の可能性が高い!
まとめ|せん妄と認知症の違いは「急性か? 慢性か?」
最後にポイントを整理しましょう👇
- せん妄: 急性発症、意識変動あり、原因次第で回復する(可逆的)
- 認知症: 徐々に進行、意識は清明、根本的な治療は困難(不可逆的)
- 国試では「症状の経過・意識レベル・注意障害の有無」がカギ!
「どちらか迷ったら、“いつから症状が出ているか”に注目!」
これだけでも正答率がグッと上がりますよ◎
今回は以上です。
学習の参考になれば幸いです。