「突然、バットで殴られたような頭痛」
看護師国家試験の勉強をしていると、くも膜下出血の説明でよく出てくるこの表現。
今回は、看護学生が国試で押さえておくべきくも膜下出血の基礎知識から、アセスメント・看護のポイントまでを、語呂合わせなしでわかりやすくまとめます。
くも膜下出血とは?基礎知識を整理しよう
くも膜下出血は、脳のくも膜下腔に出血が起こる状態です。出血源の多くは脳動脈瘤の破裂によるもので、突発的に発症し、致死率や後遺症のリスクも高い疾患です。
- 出血する場所:くも膜と軟膜の間(くも膜下腔)
- 主な原因:脳動脈瘤の破裂(約80%以上)、脳動静脈奇形(5~10%)
他にはもやもや病、脳出血なども原因となる - 発症の年齢層:40〜60代が多い
- 発症の性差:女性にやや多いとされる
くも膜下出血は英語ではSAH(Subarachnoid Hemorrhage)で、臨床でSAH(ザー)と略語で呼ぶことが多いです。(豆知識程度に記載しておきます)
くも膜下出血の主な原因とリスク因子
くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤の危険因子は以下の通りです。
- 高血圧
- 喫煙・飲酒習慣
- 瘤の大きさ
くも膜下出血の症状とアセスメントのポイント
くも膜下出血の最も特徴的な症状は、突発的で激しい頭痛です。
以下のような症状が突然出現します。
- 激烈な頭痛(「バッドで殴られたような痛み」と表現される)
- 悪心・嘔吐
- 髄膜刺激症状
髄膜刺激症状
髄膜刺激症状には以下の3つがあります。
- 項部硬直(一番国試で問われやすい)
- ケルニッヒ兆候
- ブルジンスキー兆候

‘髄膜炎‘となっていますが、くも膜下出血でも髄膜刺激症状は起きます。
続発する病態
続発する病態として再出血、脳血管攣縮、正常圧水頭症があります。
- 再出血:24時間以内に発症することが多い。再出血すると予後不良になりやすい。
- 脳血管攣縮:脳の血管が収縮して血流が悪くなること。発症72時間以降に出現し、
2週間ほど続く(7~8日頃がピーク)。 - 正常圧水頭症:認知症や歩行障害を起こす。
診断・治療
診断
CT:出血部位が高吸収域を認める
脳血管造影:出血部位の検索
治療
血圧コントロール
動脈瘤のクリッピング術
看護のポイント
- 再出血や脳血管攣縮などの合併症の早期発見
- 再出血予防に、降圧薬や鎮静薬など使用してコントロールを行う
- 病室を暗くして刺激を避ける
【7. 国試で問われやすいポイントまとめ】
項目 | 押さえるべきポイント |
---|---|
原因 | 脳動脈瘤の破裂が大半 |
症状 | 突然の激しい頭痛、悪心・嘔吐 |
初期検査 | 頭部CT |
治療 | クリッピング術 |
合併症 | 再出血・脳血管攣縮・水頭症 |
看護 | 血圧管理・合併症の早期発見 |
今回は以上です。
学習の参考になれば幸いです。